ネクストビジョン ありまです。
数年前に、熊野にある、ある古い豪族の屋敷を改装して作られた日本料亭に行ったことがあります。
本格的な点心料理が楽しめかつ、日本料理の作法と教義が学べるというところでした。
そこで学んだ幾つかの作法(マナー)をご紹介します。
まず、入りましたら必ず、庭をみること。
たとえ日本庭園に興味がなくても必ずみる。
ゆっくり眺めながらゆっくり進む。
足跡を付けないように必ず石の上を歩く。
落ちている落ち葉1つも動かさないように注意して歩く。
(庭を自分のために整備してくださった方への配慮。見てあげるのも配慮)
庭からの縁側から客室にはいる。
玄関から入ってはならない。
(かしこまってはいるのだが、玄関から入るほどかしこまった関係でないことをアピールする意味があるのでしょうか。または、自分はそんな上等な身分ではないという謙遜している意味もあるのでしょう)
建物に入る前に縁側の側にある水で手を洗う。
あのよく水が竹で流れ落ちていてコーンって音がする“ししおとし”などが置いてある場所。
その水をひしゃくですくって軽く手を洗う。
その時ひしゃくの”桶部分”を上に上げて、持っている柄の方に垂れてくる水で手を洗う。
(なんと!自分が持ったことで汚れたひしゃくの柄を洗い流しながら自分の手も洗う)
そして客室に入るとまず、掛け軸と花などの飾りを飾っているところで座って眺める。
で、感想を言うのが礼儀。
(もてなす側が自分のイメージと今日という日の意味を考え、一生懸命選んだり用意してくれたことに対して反応を見せて応えてあげる。もてなす側への配慮)
座る位置を考えて座る。
(上座と下座を考える・・これは普通)
座るのはあぐらが正式(正座は女性のみ許される)
そのうち、ご飯の御櫃(おひつ)がまわされ、自分のご飯は自分でつぐ。
このとき次の人のことを良く考えて自分の分を取るのだが、取りすぎて後の人の分がなくなってもいけないし、逆に遠慮して少なく取って余らせたら失礼になるので注意。
(これが一番緊張した。)
静かに食べてはだめ。
茶道でもそうだが、音を立ててたべる。
それがおいしいを表現を表し、もてなす側への配慮になる。
あらかじめ全員和紙を持ってきていて、余ったおかずや残飯(魚の骨など)を包んで持ってかえる。
できれば全部食べるのがマナー。
(出された料理は絶対に残さない。料理人に対するマナー)
最後にお吸い物が出るがこのとき箸をよくかき混ぜる。
(汚いようだか箸をお吸い物できれいに洗う・・料理人に対するマナー)
で、飲む。
(これも礼儀!)
さっきのお吸い物の残り汁とタクアンを利用して掃除をする。
お吸い物の汁を各食器にたらしてタクアンをほうきにして残骸を1つに集める。
で・・タクアンごと食べる。^^;
仕上げに全ての器を用意した和紙できれいにする。
(器が漆でできてるので”拭く”と漆に傷がつくのでぽんぽんと軽くたたくようにしてきれいにする。これも料理人へのマナー・・昔は、そのまま乾燥させて次の料理に利用してたそうです。)
ビックリされた人もいるかもしれませんが、これが私が熊野で学んだ日本料理の点心作法です。
洋食のテーブルマナーとは全く違い、行儀も良いとはいえません。
音は立てるわ、スープ(汁)で箸を洗ったり他の皿を洗ったりするわ。ましてや残飯を持ち帰ったり、西洋人には考えられないことを礼儀として行っていたのです。
両者は実は根本的にマナーとしての対象が違うのです。「他人にどう見られるか」に重きをおいた西洋マナーに対して、日本式マナーではもてなす側、もてなされる側と対象がはっきりしている。
他人からはどのように見られようと関係ないのです。お客さんに対して、お店の人に対して、仲間に対して・・まずは互いの絆を第一に、相手の気持ちをいたわり気づかう気持ち。
これが和の心といえるのです。
日本のビジネスマナーはこの和の心が基本になっていると考えたらいいと思います。
他国と違って特に日本は、「挨拶」・「身だしなみ」・「チームワーク」を強く重んじる気風があります。これはまさしく和を重んじる日本人ならではの躾(しつけ)なのです。
つまり、日本のビジネスマナーの底辺には「和心」があるのです。
よく言うホウレンソウ(報告・連絡・相談)にも和心があって、事務的な報告・連絡よりも、胸のうちを明かし気持ちを通じあわせる「相談」をしっかりすることで、心が通じビジネスがうまくいくのです。
事前の根回しをしっかりすることも和心ならのビジネススタイルです。
従って、和心を理解してビジネスマナーに取り組めばきっとうまくいくといえます。
しかし、逆に
「まともな行動であっても和を乱す行為であればマナー違反」
になります。
具体的には、いくら仕事ができても、スタンドプレイではダメですし、いくら優秀でも周りやお客様から認められなければダメなのです。規則違反をしていなくても和心から外れていると仕事はうまくいかなくなるものです。いろいろ思いあたることはないでしょうか?
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