ネクストビジョン ありまです。
パソコンOSのWindowsXPのサポートが2014年4月9日に終了することが大きな話題になっていますね。サポート終了後のソフトウェアは使うべきでないというのが一般的な考えです。しかし、現状では3割近いユーザがまだXPのままなのだとか。
どうしてXPは使うべきでないのか。使い続けるとどうなるのか?そういったみなさんの疑問にお応えすべく、今回、私なりにまとめてみました。
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WindowsXPが発売されたのは2001年10月のこと。12年以上もサポートが続いてきたOSです。後継のWindowsVistaが発売された2006年11月までの5年間は、パソコンが企業向けの導入だけでなく、一般家庭や学校など、社会全体に導入が進んだ時代でした。そうした時代背景からWindows XPは、標準的なパソコンOSとして最も多くの人々に利用されたOSと考えていいと思います。
あれから12年を経て、インターネットやパソコンを取り巻く環境は、大きく変化しました。
XP登場時のインターネット環境は、まだダイヤルアップ方式が中心で56Kbpsという超低速のサービスが主流でしたが、現在はブロードバンドの時代。「フレッツ光」の理論上の最高速度は200Mbpsですし、モバイルであってもNTTドコモのLTEサービス「Xi」は最高150Mbpsという早さです。
Webやメールだけでなく、映画など大容量コンテンツやクラウドサービスのさまざまなデータが高速にあたりまえのように行き交う時代になりました。
そしてパソコンのCPUやメモリー性能も大幅に向上しており、保存できるデータ量は数十倍にまで増加しています。
こうした環境の変化に伴い、セキュリティのリスクも大きく変化しています。パソコンを攻撃する「悪意のある輩達」(クラッカー)の新しい手口も次々と生み出されているのです。
どんなソフトもハードも、登場した時代の技術やインフラの水準を前提に設計しています。12年前に登場したXPの機能やセキュリティ対策技術は、もはや時代遅れといっていいのです。
その後、2006年11月にWindows Vista、2009年7月にWindows 7、2012年10月にWindows 8が登場し、マイクロソフトは、その時代のネット性能やパソコン性能にみあうセキュリティリスクに対応したOSを、常にリリースしてきました。
XPとは、「製品として3世代前のOS」というよりは、「セキュリティリスクが3世代前のままのOS」と考えた方が正しいと思います。
今回のサポート終了で一番問題となるのが「最新のセキュリティー対策のための更新プログラムの提供」をしてくれなくなることなのです。
サポート終了後もXPを使い続けると、情報の漏洩や金銭的被害も招きかねません。速やかにXPからの移行を進める必要があるということです。
以下に具体的なシーンを想定して、XPを使い続けた場合の7つのリスクを紹介します。
【1】標的にされて攻撃を受けるリスク
OSのセキュリティとは、ダムの水を貯める堤防のコンクリートのようなものです。亀裂があるとそこから水が漏れてきて、徐々に裂け目が大きくなり、ついには堤防は決壊してしまいます・・。そんな堤防の亀裂のごとく、これまでは、セキュリティの脆弱性が見つかれば、マイクロソフトからの修正プログラムで修復してきたのです。なので抜け道から“悪意のある輩達”が侵入してくることはありませんでした。でも、これからはマイクロソフトは何もしてくれません。
脆弱性が見つかれば、そこかから“悪意のある輩達”が侵入してきてウイルスや不正プログラムをばらまき始める可能性があります。今後、Windows XPが標的とされて、爆発的に被害が広まることが考えられます。現在、間違いなく“悪意のある輩達”は手ぐすね引いてサポート終了の4月を待っています。もしセキュリティーソフトを入れていてもOSそのもの脆弱性を突かれると防ぐのはむつかしいのです。
【2】機密情報・個人情報漏えいのリスク
理屈は上記の通りです。ウイルスに感染した場合、ウィルスによってはOSの破壊行為を行なうだけでなく、情報を盗んだり、書き換えたりするタイプのウイルスもあります。いかなる情報でもインターネットに漏洩して拡散したら、永遠に消せなくなります。しかも誰も防いでくれません。保障もしてくれないのです。これは大変なリスクといえます。
【3】犯罪の共犯者となるリスク
自分のPCが壊れたり、情報漏えいのも大変なことですが、自分のPCが勝手に犯罪に利用されたり、周囲に迷惑をかける可能性があります。ウイルスに感染すると、そのPCを踏み台にして他サイトに侵入したり、犯罪予告のメールを送りつけるなど、違法行為の中継地点として知らないうちに動作してしまう場合があります。意図せずに共犯者となってしまうのです。PCの所有者の責任問題になってしまうかもしれません。
【4】ホームページが正常に閲覧できなくなるリスク
XPの標準ブラウザーはInternet Explorer 6です。バージョンアップも可能ですが、XPではInternet Explorer 8までしか上げることができません。これでは、最新のウェブの技術をサポートしていないので、ホームページをきちんと表示することができなくなる可能性があります。また、ブラウザの脆弱性にも対応できなくなるので、ホームページを閲覧するだけでウィルスに感染する可能性もあります。
【5】PCソフトが正常に動作しなくなるリスク
今後XPではPCソフトの動作保障がなくなります。現在利用しているアプリケーションも、将来のアップデートでXPは対象外になるでしょう。最新のソフトや、最新のバージョンでは動作保障されなくなるわけです。業務用のソフトであればなおさら重要問題ですが、常に最新に保つべきウィルスソフトも例外ではないのです。
【6】一緒に買ったMS-Officeのサポートも終了するリスク
XPほど話題になっていないのですが、PCを購入した時に「Office 2003」を一緒に買ったなら、OfficeもXPと同じく2014年4月9日でサポートが終了します。Officeのセキュリティー更新プログラムの提供もなくなります。Officeに対しても脆弱性を突くウイルスや悪意のあるプログラムが出回っています。サポート切れで使い続けるのはリスクでしかありません。
【7】ネットから外してもリスクがある
不正アクセスのほとんどはネット経由によるもの。ではインターネットに接続せず利用すればいいと考えられたかもしれませんね。しかし、周囲から受け取ったUSBメモリーや外付けHDDなどからウイルスに感染したり、拡散させたりする可能性もあるのです。結局、これまで述べたリスクはネットに繋がなくても存在することなのです。防ぎようのないリスクの可能性がある以上、危ない橋を渡らない方が賢明です。それに今の時代、ネットに繋げずにパソコンを使うという運用の手間やコストを考えるとナンセンスなことだと思います。
以上のような理由から、今後もXPを使い続けるには相当の覚悟をしなければなりません。ただ、企業によっては、新たにパソコンを導入するだけでなく、特殊な業務用のソフトを最新のWindows用に作り直すなど、あらたなコストがかかるのも事実です。
ですが、万が一の事態が起きた時には取り返しのつかないことになってしまいます。そのもしもの場合のコストを考えると、導入に踏み切ることの方が賢明といえます。
そんな大げさな・・・まさかうちにかぎって・・・と考えないでください。万が一お客様に迷惑をかけてしまったとき、その理由が「XPを使い続けていました」では話にならないでしょう。過失責任は避けられないものになってしまいますよ・・。
ところで、Windows XPがリリースされた12年前の2001年からさらに12年前の1989年にさかのぼってみましょう。この時代はパソコンよりもオフコンといわれる事務業務専用のコンピュータが使われていた時代でした。
そして、2001年のパソコン全盛期のXP登場の時代、だれもが「これからは最新のパソコンを使う時代だ」と確信していたんですよね。まさか12年前の「オフコンで十分」などとは考えてなかったはず。
つまり、現在、12年前のXPをまだ使おうという感覚は、2001年時点での「12年前のオフコンをまだ使おう」という感覚と同じなのです。常に現在という時代に合わせ、最適なPC利用環境を見直してみてはいかがでしょうか。
最新OS、最新PCの導入にあたって、お悩みの方はぜひ当社までご連絡ください。
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