ネクストビジョン ありまです。
プロ同士の将棋の対局では、終了後「感想戦」というものをやるそうです。
これは対局中の様々な一手について「ああすればよかった」「いや、それならこうする」と対局者が感想を述べ合うことなのだそうです。
つまり「“もしも”の繰り返し」検証です。当然「感想戦」でも勝敗がつくことがあります。
しかし、そんなことをしても勝敗を覆すことができるわけありません。ですが、「あのときこうすれば勝てた」という強烈な反省が次の対局に教訓として活かされることになる。「あやまちを繰り返さぬ」ためにはそういう知的作業がとても大切なことなのです。
「歴史に“もしも”は無い」という歴史学者がおられます。
「もし・・だったら」と考えることは「学問の本道ではない」ということなのかもしれません。
確かに、歴史上で一度起きてしまったことは変えようがありません。
しかし、その事件や決断に対して、「もしも、そうしなかったら、どうなっていたか?」すなわち、「もしも」を考えなければ、その事件や決断がよいことであったかを正しく評価することはできないはずです。
・もしも弘安の役(元寇)で台風が吹かなかったら?
・もしも明智光秀が謀反を起こらなかったら?
・もしも豊臣秀吉がもう20年長生きをしていたら?
・もしも大老井伊直弼が開国を決断しなかったら?
・もしも柳条湖事件(満州事変)が起きなかったら?
歴史上の人物に対して「あの決断は愚劣だった」とは簡単に言うことができます。しかし「どうすればよかったか」と言うのはとても難しいことですが、困難だからといってそれを考えなかったらせっかくの貴重な過去の経験が全部無駄になってしまいます。
歴史というものは膨大なデータベースだと思います。これをほっておいて、ただ溜まるに任せていたら単なるゴミと変わりません。これを活かすには「感想戦」が不可欠なのです。それでこそ本当の「財産」となり、未来の正しい判断基準になるはずです。
人はそれを「教訓」と呼ぶのです。
「歴史に“もしも”はない」などという人は折角の人類の財産を無駄に捨てているのと同じだし、歴史から「教訓」を学ぼうとしていないのだと思います。
現在、私たちの企業経営活動において行われえる様々な決断にしても、「もしも、そうしなかったら、どうなっていたか?」を考えて、初めて「それは最良であった」かどうかがわかるものです。
あるいはそれを考えた結果、「こういう方法もあった」とか「こっちの方がよかった」といえるようになるかもしれません。
そういう「感想戦」という知的作業に十分パワーを注ぐことが管理者には必要なことなのです。
「“もしも”の繰り返し」検証をしないで「教訓」は生まれないのですから。
わが社の歴史というデータベースを活用して「教訓」をつくり、「あやまちを繰り返さぬ」未来の正しい経営判断に繋いでいく。
正しい経営判断をするために必要なこととはそういうことではないでしょうか。
ところで、NHKのBSプレミアム毎週木曜 午後8時~放映している「英雄たちの選択」という番組。
おもしろいですねぇ。
『英雄たちの「脳内」に深く分け入り、選択の崖っぷちに立たされた英雄たちが体験したであろうかっとうを、専門家の考証に基づいて厳密に復元。複数の選択肢を、独自アニメーションなどを駆使してシミュレーションする』のだそうで。
まさに、「“もしも”の繰り返し」検証を番組にしています。
おすすめです。
http://www4.nhk.or.jp/heroes/
こういう番組からは、現在に通じる「教訓」が学べそうです。
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