織田信長の本当の姿とは?

ネクストビジョン ありまです。

「桶狭間の戦い」といえば、織田信長の奇策による奇襲攻撃で余りにも有名です。ところが近年の研究によって、これまで言われていた「定説」が実は全く違っていたということが分かってきたそうです。

例えば、これまでの定説では、今川義元は桶狭間の谷底に陣地を貼り休息中に、信長は雷雨とともに谷底目指して一気に奇襲攻撃したとされています。いかにも奇襲らしいドラスティックな作戦ですね。

ところが近年最も信頼できる記録書として評価が高くなった『信長公記』の記述では、「おけはざま山」の中腹に陣地を貼ったとの記述があり、信長軍は山腹目指して駆け上っているのです。しかも信長は雷雨がやむのを待って攻撃を開始しています。そりゃそうだ。山を登るのに、ぬかるみでは不利ですね。

さらに定説では、雷雨にまぎれて敵の背後に回り込んだとされています。
これも、現地の地形を良く調べてみると平野が広がっており、背後に回り込もうにも、こちらの動きは相手にまる見え。不可能な作戦だったのです。つまり、相手の不意を突いたという定説どおりではなく、正面から正々堂々と果敢に戦った結果の勝利だった。つまり、桶狭間の戦いとは、奇襲攻撃とは全く言えなかったことが分かってきたのです。

では何が信長に勝利をもたらしたのでしょうか。

清洲城より出陣した信長軍は、まず熱田神社に集結して戦勝祈願を行っています。その時、コインを使って占いのパフォーマンスをしたとか。「表がでればわが方の勝ちじゃ裏がでれば負けじゃ」とか言って、結果、表がでる。軍勢は「わが方の勝ちじゃ~」って大喜び…。この話、実は両方表にしていたトリックだったのですね・・・。
また、社殿から2羽の白鷺が飛びたつのを見て、武将たちは、「吉兆の表れ」だと言って奇声をあげて大喜びし、戦意が高まっていく。実はこれも裏で仕込んでいたという話だけど。

つまり、この時の信長は部下達を鼓舞させる群衆心理術に長けていたのではないでしょうか。そのわずかな差が信長の勝利に大きく繋がったのではないかと思うのです。

もうちょっと言うと、桶狭間での信長の作戦は、別働隊の佐々勝通と千秋四郎の三百騎とで
同時に一斉攻撃を掛けるつもりだったらしい。
ところが、何を勘違いしたか、合図もしないのに、別働隊が今川勢に勝手に突っ込んじゃって、たちまち五十騎が討ち死に・・・。

この報告を聞いた信長は、あわてもせず「あれはな、相手を油断させるためのおとり作戦なのじゃ。」と部下たちに伝えたのだといいます。それが基で計算ずくの奇策説が定番となったようですが、私は、本当の信長の心の中では「えっえぇ!!~勝通ぃー!!なにやってんだよ、かってにもー。このバカちんがー!!」って叫んでいたと思うのですね。
それを部下に悟られまいと、とっさに「おとり作戦だった」ことにしたのじゃないのでしょうか。なぜなら全ては部下のモチベーション次第で勝敗が決まると信長はよく分かっていたからです。私はそう推理しています。

本当の「桶狭間の戦い」とは、これまで言われているような計算ずくの奇策でもなんでもなく、信長は無我夢中で戦った結果だったことがわかります。はじめての生死を分ける大きな勝負。一途に堂々と正面から戦い、懸命になってあの手この手で部下たちのモチベーションに気を使っていた信長の姿が本当だったようです。私を含め、中小企業の社長さんって皆そんな感じではないでしょうか?

他にも、定説と違ったことが幾つか判ってきています。
◎「信長は無神論者だった」
 信長が使う馬印は金の笠だったそうですが、この笠に「難妙法蓮華」と書かれていたそうです。決して仏神を信じないというわけでもないようです。それに様々な寺神社を建立しています。

◎「信長は天皇以上の国王的存在になろうとしていた!?」
天正6年に右大臣兼右近衛大将を辞した後、官職に就かずにいたことが根拠の様ですが、じつは本当はそれ以上の官職を求めるための作戦だったようです。天皇の次の関白を狙っていたと考えるのが自然の様です。※秀吉はその信長の意思を引き継いで無理やり関白になったと考えたらうなずけます。
近年の安土城の発掘調査によって、天皇をもてなす施設の存在が見つかっており、天皇以上になろうという野心はなかったとみるべきですね。

これらの違いはどうも江戸時代に書かれた歴史の小説によって演出された内容がいつのまにか「定説」として信じていたもののようですが、しっかりと調べてみると真の信長像は、これまでの魔王イメージの信長とは随分と違うことが分かってきます。

私たちは、なにかと自分たちの都合のいいように「定説」をつくり、それを信じて疑わないことが多くあります。

原子力発電所の安全性もそうだし、津波の高さもそうです。よ~く考えてみればそんな定説、過去の歴史を振り返ると全くの間違いであることが分かるのに、都合のいい方を信じようとする。

自分たちの今の仕事のあり方にも、そんな都合のいい定説を信じ切っていることがなでしょうか。例えば、「お客様は裏切らない」とか「安くすれば必ず売れる」とか・・・。本当にいいモノを作らなければお客様は離れていくし安くても売れないですよね。

「小さな会社は大きな会社には勝てない」
「資金力がなければ良い製品はつくれない」
そんな定説、歴史をしっかりみれば簡単に覆されるのです。
お金がなくても技術がなくとも大企業には勝てます!

「新説・桶狭間の戦い」のように、社員のモチベーションを高めて、正面から堂々と懸命になって戦えば、たとえ相手が大企業でも勝てるのかもしれませんね。
 

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この記事を書いた人

有馬 猛夫(ありま たけお)
ネクストビジョングループ 代表 IT系の専門学校で11年間教壇に立った経験を生かし、1999年ネクストビジョン設立。広島発ITベンチャー企業として製品開発・サービスの提供を行う。2006年広島市企業診断優良企業賞受賞。2008年マイクロソフト社と広島市によるITベンチャー支援企業として中国地方で初の選定企業となる。
・株式会社ネクストビジョン 代表取締役社長
・株式会社マイクロギア 代表取締役会長
・アナリックス株式会社 代表取締役会長
・一般社団法人ヘルスケアマネジメント協会 理事

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