今さら聞けない『ドローン』の未来

ネクストビジョン ありまです。
今や動画サイトやTVコマーシャルなどドローンによる空撮映像があふれかえっています。
2015年はドローンへの関心が一気に高まった年でした。ドローン元年であったと言っていいでしょうね。

そこで今回は「今さら聞けないドローンの未来」と題して、これからのドローンを解説しましょう。

ドローンとは「コンピュータによって制御された無人航空機」のことです。ラジコンとは違い、命令を与えるだけで自律的に姿勢制御を行いながら目的地に飛んでいくことができるものです。

元々ドローンは、偵察機や無人攻撃機としてアメリカによって軍事用として開発されたもの。それが民生用として小型化、高性能化が進んで誰にでも手軽に扱えるようになりました。

すでに農業分野では広く活用が進んでいます。ヤマハ発動機は1983年から農薬散布のための無人ヘリを販売してきました。現在では2700機以上が稼働しているそうです。

最新の農業ドローンでは農薬散布だけでなく、赤外線カメラで農作物の育成状況を把握し、きめ細かく肥料や農薬で育成管理を行うことができます。これがドローンによる「精密農業」と呼ぶそうで、北海道での小麦畑では従来の収穫量が3割以上アップしたとか。

漁業の分野でも同様に、海上で鳥が集まる場所を追跡し豊かな漁場を探す「精密漁業」というものにも発展してきているそうです。

このように、映像分野や農業漁業では本格的に活用されてきているドローンですが、今後さらに次の5つの分野で発展するだろうと言われています。

1.インフラ点検
人が容易に立ち入れられない場所の点検や確認に利用されるでしょう。
福島第一原発で利用されたことは話題になりました。今後も橋梁やダム、高圧電線の鉄塔、トンネル、高層ビルなど、本来足場を組んで人が時間と費用をかけないと行うことの難しかった設備の定期点検目視確認が、低コストで早期に安全に実施できることになります。

2.測量
ダムや橋などの大型建築物の予定地の測量において利用され、これまで時間と費用が掛かっていた見積作業も、もっと合理的にできるでしょう。
また、建設現場の進捗状況を常に把握することもでき、土木プロジェクトの現場管理がさらに合理的にできそうです。

3.警備
夜間パトロールにドローンを巡回させ不審者を追尾・撮影することで警備力のアップを図ることができそうです。アメリカではすでにFBIが導入しているとか。いずれ市販の警備ドローンがでてくるかもしれません。

4.災害対策
災害発生時、被害者を見つけるほか、救援の補助として役立ちそうです。
人を運ぶことまではできませんが、例えば雪山で遭難した人の捜索や、水や食料・薬などを届けたりして、救助が来るまでの補助的な活動で助かる命があるかもしれません。

5.物流
2013年12月に通販大手のアマゾンがドローンをつかって商品を30分以内に届けるサービスを発表して話題を集めました。このニュースを受けて世界中の運搬業者がドローン物流の実験に取り組んでいます。

しかしこれらの実用化には、ある課題でまだまだ時間がかかりそうです。
それは、「バッテリー性能」を上げることと「事故率」を下げること。この2つがドローン実用化の大きな課題といえます。ですが逆に言うと「バッテリー性能」と「事故率」を改善するだけでドローンは一気に普及するということでもあるのです。

ところで、2015年9月、改正航空法が成立しました。今回の改正はドローンの飛行禁止空域が設定され、許可なく住宅密集地や飛行場周辺などでは飛ばしてはならないことになりました。

それでは飛行禁止空域以外ではドローンを飛ばしてもいいのか?というとそこははっきり決まっていません。今の法律はまだまだ曖昧で、道路や川の上は飛ばしてもいいのかすらはっきりしていないのです。

日本の法律では禁止したり制限することは得意なのですが、許可することは不得意です。

自動車に道路が必要であるようにドローンにも飛行許可空域が必要でしょう。前述のとおり「映像・農業・漁業・インフラ点検・測量・警備・災害対策・物流」と、様々な分野に大きな効果が期待できるドローンは「空の産業革命」とも呼ばれているのですが、法整備や行政機関の後押しは今一つです。

ドローンの活用が最も進んでいるのはアメリカです。ドローンの機体メーカの販売数で圧倒的優勢なのは中国です。技術力では日本のメーカととさほど変わらないか、もしかしたら抜かされているかもしれません。

今の日本がドローンで世界でリードしようにも、メーカーの努力だけで技術力を高めてもとてもかなうものではないでしょう。産学官が連携して一体となって新たなビジネスモデルでイノベーションを切り開いていくしかないと思います。

例えばパイロットの免許制度を導入するとか、機体の安全基準を制定するとか、産学官で議論すべきことや行うべきことはまだまだ沢山あるように思います。

現在の課題である「バッテリー性能を上げ」「事故率を下げる」ことは昨今の目まぐるしい技術革新で10年もすれば解決すると思います。その将来に合わせて法整備や行政機関の整備をもっともっと進めれば、ドローンにはもっともっと明るい未来があるように思いますけどね。

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この記事を書いた人

有馬 猛夫(ありま たけお)
ネクストビジョングループ 代表 IT系の専門学校で11年間教壇に立った経験を生かし、1999年ネクストビジョン設立。広島発ITベンチャー企業として製品開発・サービスの提供を行う。2006年広島市企業診断優良企業賞受賞。2008年マイクロソフト社と広島市によるITベンチャー支援企業として中国地方で初の選定企業となる。
・株式会社ネクストビジョン 代表取締役社長
・株式会社マイクロギア 代表取締役会長
・アナリックス株式会社 代表取締役会長
・一般社団法人ヘルスケアマネジメント協会 理事

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