事件は会議室で起きている!会議を変えるルール

ネクストビジョン ありまです。

「事件は“会議室”で起きてるんじゃない! “現場”で起きてるんだ!!」。
1998年、織田裕二扮する青島刑事は映画「踊る大捜査線 THE MOVIE」でこう叫びましたね。
これはちょっと古いネタなので最近の若い人にはわからないかもしれませんが、意思決定機関である「お上」に対して不満を爆発させたそのシーンは、日頃から同様の鬱憤(うっぷん)をためているビジネスパーソンを代弁していて、映画のヒットとともにこの名セリフは流行語となったのです。いやぁ懐かしい。
「事件」は「現場」で起きているかもしれない。しかし、企業経営に限れば、ホントの問題は「会議室」で起きているのです。
「会議室」の意思決定が適切ならば、現場は混乱しません。
「会議室」の「会議」自体がうまくいかないことが大きな「問題」なのです。
だから、「現場」が混乱するのではないでしょうか。
その「会議」での問題とは次の4つが主にあると思います。
  • (会議の)時間が長い
  • (会議の)中身が薄い
  • (会議で)何も決まらない
  • (会議で)発言がない
これら4大問題を解決するため、「短く濃い会議」を目指すため、このほどうちの会社では会議に対するルールを定めましたのでココで公開します。
みなさんの参考になれば幸いです。
■目的
会議にはコストがかかっています。
1人の1時間の人件費を「2,500円」として、10人で2時間の会議を行えば、50,000円浪費したことになるのです。
つまりメリットが見込めない会議はすべきではないのですが、必要な場合もあります。
できるだけ無駄をなくして有益な時間にすることが最大の目的です。
■定義
こうしたルールを定めるときには、「そもそも」を考えてみたほうがいいでしょう。
・そもそも会議ってなんなん?
・そもそも会議ってなんでやるん?
ってことですね。
会社でメンバーが直接集まる行為として「面談/報告会/勉強会/会議/ミーティング」とあり、以下それぞれの定義を以下のように定めました。
面談 :個別の「ホウレンソウ」のため
→直接会うことが効果があるなら有効。そうでないならメールで。
→直接業務に関係ないことなら原則は業務時間外で
報告会:数人を集め必要情報の「周知」のため
→内容が複雑、難解、あるいは誤解を招く恐れがある、反応を見たい、
 ちゃんと伝えたい、ちゃんと聞きたいなど
 集める必要がある場合限り開催
 →そうでないなら社内メールで
勉強会:数人を集め「学習」のため
→直接あう必要あり
→直接業務に関係ないことなら原則は業務時間外で
会議 :3名以上で「意見をまとめ意思決定する」ため
→意思決定しないなら実施しない
→意見の収集→アンケートでできる→実施しない
※会議とミーティングは別という意見もあるようですが、当社では同じものとして扱うことにしました。
■会議のルール
そこで本題。ここから会議のルールです。

1.本当に必要な会議だけやる
  (1)決定する議題が必ずあること
会議/ミーティングとは「意見をまとめ意思決定する」ためのものであるから、必ず「意思決定結果を示す」それができないなら実施しない
 →周知だけなら社内メールで
 →意見収集だけなら社内メールで
  
  (2)コスト以上の効果・メリットがあること
関係者を集めて検討(コストをかける)ことに見合う効果がなければ実施しない
コストをかけてまで話し合うほどの必要な内容であるのか?
 →些細なことなら担当者とその上司とで話し合って解決できる
  その後、決定事項だけ社内メールで周知すればよし
  (3)惰性で実施しない
「定期的に実施しているから実施/毎回行っている」は実施する理由にならない
★何のために何を決めなければならないのか?
★そのために会議をすることで効果があるか?
★会議では売上も利益も生まれないことを意識しよう!
2.必要な人のみ招集
  (1)意思決定に必要な人だけを呼ぶ
 関連性があっても、意思決定に必要なければ呼ばない
 ※ご意見番として、なにか手伝ってもらうかも・・NG
  (2)3名~7名で実施
 ※セブンルールといって7名を超えた会議では意思決定ができなくなる、と言われています。
 厳選したメンバーにする
  →2名以下での個別のことは個別に実施
   ※衛生委員会など法令で定められている会議は別
  (3)意見を言わない人は呼ばない
  ※会議で発言がなかった人は次回からもう呼ばない
3.事前告知
事前に実施案内をする。
突然思い付きで始めない。

目的(ゴール)と議題(課題と検討事項)を事前に参加者に共有する
4.時間厳守/時間短縮
  (1)5分前集合5分前終了を心掛ける
 ※開始時間を過ぎてだらだら集まらない。
  (2)原則30分以内で終える
 ※特別長くなる場合でも最大90分を超えてはならない
      
  (3)早く終われば早く終了する
  
  (4)予定終了時刻を絶対に過ぎない
 ※もし時間内に決めるべきことが決まらなかった場合
   ⇒ 日時再調整し案内することとして一旦は散会とする
     時間延長は絶対にしない
  (5)会議終了10分前にはまとめに入る
5.10分ルール

会議室が開始時間後10分経っても使われていなければ、その「予約を破棄し別の予約を入れてよい」


6.会議室利用中の札の掲示

ホワイトボード状のものを利用

「利用中」「終了時間〇:〇」を記入

 ⇒時間を過ぎたら次の利用者が入ってきてOK


7.役割分担
  以下の役割を必ずあらかじめ決める
〇ファシリテーター(司会)
 ⇒進行役
〇書記(議事録作成)
 ⇒決定事項が決まっていないのに司会が次に行こうとした際は、
 「決定事項が明確でないことを伝える」など、ただ記録を取るだけでなく、進行にも関わり自身が会の成果物を作っているという認識をもつ
〇タイムキーパー
 ⇒終了時間をすぎないよう進行をコントロール
  ※チーンの音、タイマーの音を鳴らすでも可
8.配布物を減らす
・なんでもかんでも印刷しない
・できるだけノートPC持参
9.ホワイトボードを活用

情報を共有しながら議事を進める

議事録では記録できにくい図や関連図で効果的な表現が可能

10.中座しない

急用でない限り、電話にでたり、ほかのことをしない。

※お客様からの電話は「お急ぎでしょうか?」と尋ね「折り返し連絡します」


11.予定より早く終わる
参加者全員が集中して早く終了させるために努力する
★5分前終了を目指す
12.議事録作成
・即日作成必須
・関係者全員へ周知
・PCのメモ帳(テキスト)でスピーディに直に入力する(Excel/Wordは使わない)
・議題に対して確定した事項を箇条書きで記載(要点を箇条書き)
・ホワイトボードを撮影した写真を添付し、「別紙1参照」など記載
・定例的な会議であれば ひな形作成・ファイル保存場所の指定
13.ファイル管理
会議での配布資料は、議事録と同じ場所に「その時利用したもののコピー」を置く
関係者が閲覧し議事録のチェックを行う。
14.会議終了後の行動を徹底

・関係者に議事録を周知する

・決まったことは確実に実施するための行動に移る


15.工数管理をする
費用対効果を適宜検証できるよう、稼働実績を記録する。
会議ごとの総会議時間を集計し、どれだけの工数・費用がかかっているか、その成果がどういうものが得られたのかを見える化することで、特定の会議の必要性や内容を見直す。
16.みんなで守る
上記のルールを取り締まるルールは特段には定めない。
代わりに互いが互いにチェックし合い協調して取り組む。

続いて実施要項も公開します。

■会議の実施要項
●「準備」
 <4P>
 ①Purpose(目的)
・目的(何のためにやるのか)/議題(何を達成したいのか)を整理する。
・会議実施による効果メリットを確認する。(コストに見合う効果があるか確認)
・社内メールなどのツールの活用で「会議は実施しないという選択」を常に意識する。
 ②People(参加者)
・必要な人は必ず呼ぶ(3名~7名に厳選する)
・貢献しない人は呼ばない。
・会議次第を作成し事前に通知する
   <案内内容>

・日時場所
・目的
・議題(課題と検討事項)
・持参物(ノートPCなど)
・参加者
・会議で期待する効果

 ③Process(進め方)
・議題・アジェンダ・時間配分・議論のシナリオを考える
 ④Property(装備)
・会議室の手配/資料の準備/参加者へ事前に資料を展開/PC準備など
・レジュメ
●「導入」
 ①会議の終了条件(ゴール)と進め方を確認する。
 ②役割分担を決める。(ファシリテーター/書記/タイムキーパー)
 ③目的と議題(課題と検討事項)を確認する。
 ④時間配分と終了時間を確認する。
●「進行」
 ①議論は可視化する。
  ホワイトボードを活用する。
 ②全員から主張を引き出す。
 ③対話を促し合意形成する。
●「収束」
 ①終了10分前にはまとめに入る。(遅くても5分前にはまとめる)
 ②決まったこと、やるべきことを確認する。
 ③振り返りをする。
●「後処理」
 ①議事録とホワイトボードの写真を関係者に周知。
 ②貢献度を整理する。(次回招集時に参考)

いかがだったでしょうか。参考になれば幸いです。

ところで、当社では会議室(会議コーナー)に写真のような小型ホワイトボード(A3サイズ)を設置しています。
会議(ミーティング)を始める前に、このボードに必要事項を記入し、皆と共有して、壁に掛けて始めるのです。
実施要項の「導入」時に行うべきことを漏れないようにすることや、参加者全員で会議の進め方をチェックし合う仕組みを作る狙いがあります。
<書き方>
・タイトル 会議の名称
例)「会議を変えるプロジェクト」
・目的(終了条件)
何のために会議をやるのか、何をきめなければならないのか、なにをするところがゴールなのか
例)「無駄な会議をなくし、会議の時間を飛躍的に短縮する仕組みを作る」
・役割
F:ファシリエイター/G:議事録作成者/T:タイムキーパー
☆それぞれの役割をあらかじめ決めておく

・スケジュール

項目別に何時から何をするか、何時からまとめ(振り返り)に入って、何時に終わらなければならないか記入
例)
 13:00~ 会議の定義について
 13:05~ 会議開催の条件について
 13:15~ 会議開催ルールについて
 13:25~ まとめ
 13:30  終了
わが社では、こうした会議ルールの徹底やツールの活用することで、会議そのものの時間が劇的に減りました。
「会議できちっと意思決定して、それを周知徹底する。」
単純だけどこれがきちっとできるようにすることはとてもむつかしいものです。
問題解決手法はいろいろで、答えは一つじゃないので、参考にされながらいろいろ試してみられるとよいでしょう。
みなさまの参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

有馬 猛夫(ありま たけお)
ネクストビジョングループ 代表 IT系の専門学校で11年間教壇に立った経験を生かし、1999年ネクストビジョン設立。広島発ITベンチャー企業として製品開発・サービスの提供を行う。2006年広島市企業診断優良企業賞受賞。2008年マイクロソフト社と広島市によるITベンチャー支援企業として中国地方で初の選定企業となる。
・株式会社ネクストビジョン 代表取締役社長
・株式会社マイクロギア 代表取締役会長
・アナリックス株式会社 代表取締役会長
・一般社団法人ヘルスケアマネジメント協会 理事

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